空き家 管理

【空き家管理Q&A】どうするのが一番得?空き家所有・管理にかかる費用と管理方法のまとめ

不動産は持っているだけで税金がかかりますし、ずっと放置すると建物が傷むので定期的に管理する必要があります。先日、まさにそんな悩みを相談されました。

内容は、「田舎に一人暮らししていた母が亡くなって(父はすでに他界)、誰も住まなくなった実家を自分が相続した。空き家を放置しておくわけにはいかないが、遠方のため自分で管理ができない。どうすればよいか。」という内容です。

どう答えたかの結論を先に言うと、今回のケースは遠方と言う事もあり、「売却した方が良い」と答えました。所有し続ける選択肢も、土地活用する選択肢もありますが、リスクが大きいと思ったので、売却を薦めました。今回は、そんな遠方にある空き家をどう処理すれば良いかというお話です。

目次

1.不動産を所有しているとかかる金額
1-1固定資産税
1-2ランニングコスト

2.空き家の管理とは何か?
2-1空き家のリスクとは?
2-2具体的な管理方法
2-3管理費用

3.空き家を活用する手間とコスト
3-1建て替えて賃貸として活用する
3-2リノベーションをして売却に出す

4.売却費用について

5.遠方の空き家を売却する時の注意点
5-1不動産会社を見極めるコツ
5-2不動産会社の探し方

6.まとめ

1.不動産を所有しているとかかる金額

不動産を所有していると何のお金がどのくらいかかるでしょうか。

1-1固定資産税

全ての不動産には、所有者に対して固定資産税がかかってきます。勿論空き家であっても例外ではありません。固定資産税の支払い義務者は、毎年1/1時点でその不動産を所有している人です。固定資産税の税率はほとんどの地域で1.4%※1です。ただ、税率に関しては都道府県や市町村で定める事が出来ますので、税率が違う地域もあります。

固定資産税は状況によって軽減税率が適用されます。以下の通り、その土地に建物があれば評価額が軽減されますので、固定資産税も安くなります。この軽減措置も空き家を増やしている原因の一つです。特に今回のように遠方だと、空き家を処分するのも大変です。ただ、空き家でも建物がありさえすれば固定資産税の軽減が受けられるので放置してしまうという事です。

・土地(建物がない更地):固定資産税評価額×1.4%
・土地(建物あり。住戸1戸200u以下の部分):固定資産税評価額×1/6×1.4%
・土地(建物あり。住戸1戸200u超の部分) :固定資産税評価額×1/3×1.4%

この税率は、固定資産税台帳に記載されている固定資産税評価額に掛けて算出されます。この固定資産税評価額は、公示価格の70%を目安に設定されています。そのため、一般的な地価の増減によって固定資産税も増減するという事です。

※1詳細は東京都主税局ホームページをご覧ください
http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/index_o.htm

1-2ランニングコスト

今回のケースでは、管理を不動産会社などに依頼していた場合には管理費用が掛かってきます(詳細は後述します)。仮に、相続する不動産がマンションであった場合には、そのマンション全体で支払う管理費や修繕積立金なども月々かかってきます。
もし土地や戸建て、マンションに住宅ローンが残っていたら、その負債も一緒に相続します。つまり、その場合は住宅ローンの支払いも月々かかってくるという事です。

2.空き家の管理とは何か?

前項で、空き家には管理が必要と言いましたが、具体的にどのような管理をするのでしょうか?その話をする前に、そもそも空き家管理をしなければいけない理由を理解する必要があります。空き家には色々なリスクが潜んでいるのです。

2-1空き家のリスクとは?

大きく分けて「所有者が受けるリスク」と「近隣の住民が受けるリスク」の2つがあります。
まず、所有者が受けるリスクとは防犯面のリスクです。ずっと空き家の状態にしておくと、侵入者が現れたり、不法占拠されたりする危険性があります。更に、家の中や土地に不法投棄をされるというリスクもあります。

近隣住民が受けるリスクは、先ほど言った防犯面の二次被害です。空き家に盗難に入った泥棒が近隣住居にも侵入するかもしれません。不法投棄された物質が悪臭を放ち、近所に臭いが立ち込めるかもしれません。更に、空き家が火災にあったり倒壊したりしたら、近隣住居も被害を受ける事になるのです。

空き家を管理するのは、家の劣化を少しでも防ぐという理由もあります。ただ、このような防犯面や災害面のリスクを防ぐという意味もあるのです。

2-2具体的な管理方法

・通風・換気
全ての窓や押し入れ、床下収納、キッチンの換気扇など、空気がこもりやすい箇所の換気を行います。臭気がこもり壁紙や床に染みつくのを防ぐことと、カビの防止が主な目的です。

・通 水
トイレ、キッチン、洗濯パンの通水を行います。本来は、全て「封水」と言われる、水が溜まった状態が健全な状態です。しかし、時間が経つと封水が蒸発してしまい、配管の臭いが部屋中に立ち込めてしまいます。通期と同様、その臭気が部屋に染みつく事を防ぎます。

・雨漏り確認 
雨漏りによる木材の腐食を食い止め、必要であれば処置を施します。

・清 掃
室内の簡単な掃き掃除を行います。

・庭木確認
雑草の除去や必要であれば剪定を行います。

・外壁や雨樋などの外部確認
外壁のひび割れや、カビ、塗装の剥がれなどを確認します。

・近隣住戸の確認
境界付近の異常、枝などの相互越境、近隣の変化(工事、日照、道路など)を確認します。

・ポスト整理
ポスト、玄関への配布物・郵便物の整理、重要と思われるものを指定先へ転送します。

・災害時巡回

・管理結果の報告

場所や季節によっては、積雪状況の確認や除雪、凍結防止など、これ以上の管理が必要になります。これらの管理を出来れば2週間に一度、少なくとも1ヵ月に1度の頻度で行う必要があります。

2-3管理費用

管理費用は会社やプランによってマチマチですが、概ね5,000円〜10,000円程度です。例えば大東建託管理※2を例にしてみます。前項の管理全てを行うと、「内外部管理 月1回70分 10,800円(税込み)」になります。前項の、主に外部だけの管理だと、「外部管理 月1回35分 5,400円(税込み)」となります。

出来れば室内も実施したほうが良いので、月1万、年間12万円の費用が掛かってきます。特に、今回のケースでは遠方と言う事もあり、内外部の管理をお願いしていました。そのため、今回の相談者は管理に年間12万円、固定資産税年間18万円、交通費年間1万円の、合計で年間約41万円を空き家の維持のためだけに使っていたという事です。

※2大東建託管理
http://www.kentaku.co.jp/etc/ak/service/index.html#a05

3.空き家を活用する手間とコスト

今回の相談は「空き家を放置したままには出来ない」という内容ですので、必ずしも売却するというわけではありません。空き家を活用することも選択肢に入っています。ただ、結論から言うと初期費用が掛かりすぎるので、お薦めはしません。抜群の立地であればまだしも、今回は田舎という事もあり売却した方がリスクは小さいと判断しました。

3-1建て替えて賃貸として活用する

例えば、空き家を取り壊し建て替え、その一戸建てを賃貸として活用する方法です。解体費用の相場は坪3万円程度です。そのため、今回30坪の戸建てでしたので解体費用に約90万円かかります。そこに家を新たに建築します。建築費用はピンキリですが、坪50万円程度で考えると、30坪で1,500万円です。外装や付帯工事などもいれて合計2,000万円と仮定します。

つまり、解体費と建築が合計で2,100万円掛かるという事です。今回は場所も田舎ということもあり、せいぜい月8万円程度の賃料だと仮定します。そうすると表面の利回りでたったの4.5%です。しかも、税金や建物の修繕代、空室リスクは加味していないので、実質利回りは3%台でしょう。
このように建て替えとして賃貸にする方法は非常にリスクが大きい事が分かります。

3-2リノベーションをして売却に出す

今流行りの、リノベーションをしてから売却や賃貸に出すという方法です。リノベーションもピンキリですので、どこまでやるかで価格は大きく変わります。

ただ、今回は親御さんが所有していた古い家ですので、売り物にしようとすると、恐らく1,000万円程度はかかるでしょう。そうなると仲介手数料や諸費用を入れると1,200万円以上で売却しないと元が取れません。築40年を超えている戸建てなのでいくらリノベーションをしたからと言って、2,000万円台で新築が建てられる相場で、1,200万円で売ることは難しいです。

このように、築40年を超えている戸建てについては、何か手を加えて売り出す事は大変リスクが大きいです。今リノベーションが流行っているのも、あくまで立地が良いという絶対条件があってこそのリノベーションです。

更に、解体して建物を建て替える時には現地の視察にも行かなくていけないですし、間取りや設備などを一から決めなくてはいけません。大抵が現地の建設会社を利用しますので、わざわざ現地に行って打ち合わせを重ねるという大きな手間がかかってきます。

4.売却費用について

今までの話から、そのまま売却活動をした方が良い点は分かったと思います。売却する時には何のお金がいくらかかるでしょうか。以下が売却に伴う費用です。

・仲介手数料
税抜き不動産価格が200万円以下の場合は「5%」の手数料。
税抜き不動産価格が200万円超〜400万円以下の場合は「4%+2万円」の手数料。
税抜き不動産価格が400万円超の場合は「3%+6万円」の手数料が上限となります。

・所有権移転登記費用(登録免許税※3+司法書士報酬料)
・印紙税※4

所有権移転登記費用は登録免許税と司法書士報酬料になります。この額は、固定資産税評価額に税率を掛けますので、物件によって変動します。司法書士報酬料も司法書士事務所によって異なります。目安としては、概ね10万〜15万円程度です。印紙税※8も物件価格によりますが、一般的な1,000万円超〜5,000万円以下の物件の売買では「2万円」となります。

例えば、今回のケースでは、建物価値が0円なので土地だけで考えます。土地の価格は1,200万円であれば、その場合の仲介手数料は約45万円(消費税込み)になり、この金額と上記の登記費用なども合わせると、大体55万円ほどの費用がかかってきます。いくら田舎とは言え戸建てが建っていた土地ですので、諸費用くらいは賄える金額では売れるはずです。

このように、売却する時はリノベーションや建て替えほどのお金はかかりません。これらを全て加味すると、そのまま空き家を売却(実際には土地)した方がリスクは小さいと言えるでしょう。

※3国税庁ホームページ 登録免許税
https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7191.htm
※4国税庁ホームページ 印紙税
https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7101.htm

5.遠方の空き家を売却する時の注意点

不動産を売却する時の流れは以下になります。

・査定(売却目安金額の算出)
・媒介契約(売却を依頼する不動産会社の選定)
・売却活動(広告展開、内見)
・契約(売買契約書の締結)
・引渡(登記手続きなど)

不動産を売却するには、このような多くのステップを踏む必要があります。遠方の不動産を売却するには、不動産会社に頼ることも多いです。例えば、売却活動の時は鍵を預けなくてはいけませんし、契約の時にも最悪の場合は郵送などのやり取りになる可能性があります。

5-1不動産会社を見極めるコツ

今回の場合は、空き家を活用するのではなく、売却した方が良いという結論になりました。しかし、肝心の売却活動が上手くいかず、思っていた金額で売却できなければ本末転倒です。そのため、信頼のおける不動産会社を選任する必要があります。今回のケースでは以下の事を重視して不動産会社を選びましょう。

・営業担当者のレスポンスが早く正確か(基本は電話とメールのやりとりになるため)
・地元に密着した会社か(遠方の田舎のため地場に密着した会社の方が顧客を知っているため)
・セキュリティ管理などしっかりとした会社か(鍵を預けるので万が一のことがないようにするため)
・戸建ての売買実績が豊富か(土地の境界など細かなところでミスが発生しないように)

5-2不動産会社の探し方

今回は遠方ですので馴染みが薄い場所です。そのため、地場の会社を見つけるためには現地まで行く必要があります。しかし、現地に行ったところで、地元で良い不動産会社があるかは分かりません。

そこで一括査定サイトを利用することをお薦めしました。特に参画企業数が一括サイトでトップクラスのイエウール※5というサイトをまずは使ってみる事を薦めました。私も以前自分のマンション売った時に利用し便利だったのも理由の一つです。

イエウールで6社から査定をしてもらった結果、最寄り駅前に店舗を持つ地元の不動産会社と出会えて、無事に契約までしたそうです。レスポンスも早く、どんな人がいつ見学に来て、その人の検討具合はどうだったのかなど、細かい連絡をくれたので安心して任せられたそうです。現地に行ったのも契約時の一回で、引渡も委任状対応で行ってくれたので非常に楽だったと言っていました。

やはり、遠方の物件を売却する時には、地元で且つ細かく丁寧な連絡をしてくれる担当者が良さそうです。

※5イエウール
https://ieul.jp/

6.まとめ

家を相続したのは良いが、「いつか処理しよう」と思って、放置している物件は非常に多いです。それが、今社会現象になっている空き家問題に繋がっているのです。特に遠方の物件の相続ですと、売却するにせよ、賃貸するにせよ現地に行くまで時間がかかるので、どうしても放っておきがちになります。

極端に立地が良い場合を除き、手間がかかりますが、早めに売却してしまいましょう。気づいたら数年間で100万円以上のコストを支払っているという例も少なくありません。